山内武志さん、86歳の新作
山内武志さんの新作の卓布が入荷しました。山内さん自らが染めたという藍染の糸を機屋さんで織り込んで仕上げたという木綿の生地、縞布に型染めしたという作品です。
「印花」とは中国陶磁器の文様装飾のことを言い、器の表面に草木の花弁,茎,葉などを文様として押印型で押したもの。山内武志さんは、陶磁器の文様にヒントを得て型を掘りおこしたのでしょうか、スタンプのような、インドネシアのバディックを思わせる、異国情緒を感じる一枚に仕立てています。
ゆったりとした時の流れを感じる、品格ある美しさは語りかけてくるような普遍的な心地良さがあります。
型染めののち、丹念に差し色をして奥行きある景色に。縞布のブルーのラインがその意匠を引き立たせています。
民藝の花器はもちろん、ガラスやお気に入りの小物を飾っても、ランチョンマットにしても。
手しごと、民藝を気軽に暮らしに取り入れてほしいという山内さんの思いがこもったインテリア布です。
*作品のなかには、糊置きなどの影響により、滲みなどが見られる作品もあり、個体差が少しあります。特に藍染めはその傾向が強くなるようです。すべて86歳、染め人のいまを伝える手しごとの醍醐味としてご愛用ください。
伝統文様とモダンデザインの融合
テーブルセンターや花瓶敷きに使われてきた卓布(たくふ)。山内武志さんの型染めの卓布は、従来の古臭さや重々しい雰囲気ではなく、民藝の格調はそのままに、現代生活に取り入れやすいインテリアグッズ。お気に入りの置物と組み合わせた敷物はもちろん、ランチョンマットなどさまざまに使えます。人間国宝の 故芹沢けい介(せりざわけいすけ)氏に師事し型染めを学んだ山内武志さん。山内さんが生み出した型紙は、手ぬぐいだけでも80種類以上といいます。堂々とした色使いやモダンで華のある大胆な図案など、伝統柄からオリジナルの抽象柄までその生命力あふれる作風が魅力です。
山内さんの型染めは、華やかでありながら決して俗っぽくならず、品格があり使い込むほどに愛着の湧く逸品です。
■material:木綿(縞布)
※紫外線にあたると褪色しますので、日陰となる場所でお使いください。
※摩擦により色移りする場合があります。
※たっぷりの水で単独洗いをしてください。
※お手入れは中性洗剤で押し洗い、陰干しがおすすめですが、洗濯ネットを使えば洗濯機でも洗えます。その場合は、両端のフサ部分を折って中に入れ込み、洗濯ネットに入れて中性洗剤で洗ってください。最初は色落ちしますので、単独で洗うことをおすすめします。使うほどに風合いが増してきます。
※サイズは目安で、一枚一枚ばらつきがあります。
※手染めのため、画像との色の違いや色ムラがある場合があります。また、型への色の入り込みや滲みが見られますが、手しごとの味としてご理解ください。
【お願いとご注意】
色名や柄名については当店で独自につけています。色名は日本の伝統色にちなんだ名ですが、手しごとの魅力を伝えるための意図で名付けており、カラーチップやチャートを元にした染色ではありません。
当店の色柄名を指定しての、アトリエぬいやさんや別店舗さまへのお問い合わせはどうかご遠慮いただきますようお願いいたします。また、別店舗さまでの色名と当店の設定する色名は同じ染色とは限りません。
また、同じ色名であっても、手仕事ならではの特性で商品ごとに多少の違いがございますことをあらかじめご了承ください。色や素材についての疑問などはお気軽にお問い合わせくださいませ。
商品のつくり手について
伝統の型染めで生み出されるモダンな模様のテキスタイル
明治から大正時代にかけて、型染めの産地として知られていた浜松。天竜川を水源とした豊富な清水に恵まれ、山風が吹くこの地は、洗いと乾燥が鍵を握る染め物にとって絶好の場所です。この浜松で型紙づくり、染め、色止め、洗いなど気の遠くなるような作業を要する伝統的な型染めの技法を今も守り続けるのが、浜松に工房を構える染色家の山内武志さんです。
紺屋を営む家に生まれた山内さんは、人間国宝の染色家・故芹沢けい介氏に師事して技の研さんを積むと共に、感性に磨きをかけ、独自の世界観を確立させます。
「すべての工程がおろそかにできないんです」と語る通り、一つひとつの工程に対して、一切の妥協を挟まないそのていねいな手仕事ぶりには、伝統工芸を生み出した先人たちへの敬意と、浜松の染め文化に対する誇りが感じられます。
そんな山内さんが生み出す布製品は、伝統的な型染めならではのやさしい肌ざわりや通気性の良さ、色の鮮やかさはそのままに、現代の暮らしにも馴染むモダンなデザインが魅力。丸や四角を組み合わせた幾何学模様や伝統の和柄をアレンジしたぬくもり感あふれる柄は、つい手に取ってみたくなる愛らしさに満ちています。色とりどりの染め物たちが、暮らしを楽しく彩ってくれます。
[N Drive 創刊号 静岡いろは掲載店]