ヘリンボーンのような意匠の美しさ
「矢縞(やじま)」と呼ばれる通り、矢じりの縞もようが美しい手ぬぐい。杉綾(ヘリンボーン)にも似ていますが、なんともモダンな手ぬぐいです。山内武志さんの作品では、マルチクロス、椅子敷きと定番として登場する意匠ですが、北欧にも通じるモダンな佇まいにファンが多い型。催事や実店舗では不動の人気を誇るのは、現代の暮らしにマッチするからでしょうか。山内ファンなら一枚は持っていたい手ぬぐいです。
伝統文様とモダンデザインの融合
きめの細かい上質の綿を使用した100センチ程ある少し長めの手ぬぐい。スカーフ替わりに首に巻くとさらりとした心地よい肌ざわりです。
ハンカチ、キッチンクロスとしても。贈り物を包んだり、ティッシュカバーとしても。お気に入りの柄なら、額装して飾ったり、2枚の手ぬぐいを縫い合わせて暖簾替わりにするのもおすすめです。アイデア次第でいろいろな使い方が楽しめます。
手ぬぐいへのこだわり
染める生地(織物)にも格別のこだわり、丁寧な仕事を施す山内武志さん。手ぬぐい生地は、最上級の特岡生地を使用。和晒しに竿干しで仕上げられた生地を選んでいます。
「和晒し」は、大きな釜で、緩やかな水流により2〜3日ゆっくりと時間をかけて焚きこみます。
そのため、生地にはストレスはかからず、柔らかな吸水性のよい晒に仕上がります。
その後、仕上げは手作業となる竿干し、その後二度晒しの加工を施しています。
丁寧に、手間をかけた生地を使うだけなく、工房でもさらにひと手間。
呉服の染め工程であるような砧打ちも最後の工程で施すそうです。
型染めの工程だけでも気の遠くなるような幾つもの工程を経ている、山内武志さんの染めもの。
生地選び、仕上げもこだわり抜いています。
■material:綿100%(最高級晒特岡)
※人気の型は、何度も彫るため、写真の微妙に配置が変わ。
※一枚一枚手で染めているため、画像との色の違いや色ムラがある場合があります。
※汗や摩擦により色移りする場合があります。使用前にたっぷりの水で単独洗いをしてください。
※型染め手ぬぐいは引き染めで染めていますので、裏表があります。引き染めでは布を張るために伸子(しんし)を使うので、生地の耳に針の跡がありますが、洗濯することで徐々に目立たなくなります。
※サイズは目安で、一枚一枚ばらつきがあります。
商品のつくり手について
伝統の型染めで生み出されるモダンな模様のテキスタイル
明治から大正時代にかけて、型染めの産地として知られていた浜松。天竜川を水源とした豊富な清水に恵まれ、山風が吹くこの地は、洗いと乾燥が鍵を握る染め物にとって絶好の場所です。この浜松で型紙づくり、染め、色止め、洗いなど気の遠くなるような作業を要する伝統的な型染めの技法を今も守り続けるのが、浜松に工房を構える染色家の山内武志さんです。
紺屋を営む家に生まれた山内さんは、人間国宝の染色家・故芹沢けい介氏に師事して技の研さんを積むと共に、感性に磨きをかけ、独自の世界観を確立させます。
「すべての工程がおろそかにできないんです」と語る通り、一つひとつの工程に対して、一切の妥協を挟まないそのていねいな手仕事ぶりには、伝統工芸を生み出した先人たちへの敬意と、浜松の染め文化に対する誇りが感じられます。
そんな山内さんが生み出す布製品は、伝統的な型染めならではのやさしい肌ざわりや通気性の良さ、色の鮮やかさはそのままに、現代の暮らしにも馴染むモダンなデザインが魅力。丸や四角を組み合わせた幾何学模様や伝統の和柄をアレンジしたぬくもり感あふれる柄は、つい手に取ってみたくなる愛らしさに満ちています。色とりどりの染め物たちが、暮らしを楽しく彩ってくれます。
[N Drive 創刊号 静岡いろは掲載店]