ころんとしたかたちが愛らしい盛りかご「鉄鉢(てっぱち)」




白竹を編まれてつくられた定番の鉄鉢(てっぱち)。
白竹とは、竹の種類ではなく、天日に干して乾燥させ、湯につけたりして油抜きの下処理を施した素材としての竹のこと。この処理だけで2ヶ月以上がかかると言われています。
うずら編み(輪弧編み)と呼ばれる編み方で仕上げた立ち上がり部分と、六ツ目の底を組み合わせて作られた盛篭は、シンプルで飽きのこない昔ながらの形を守り続ける職人ならではの手仕事です。
立ち上がりに横にぐるりと補強を入れることで丈夫にし、長く使えるよう組み上げられています。デザイン上のアクセントともなり、昔ながらの盛篭がモダンな印象に。うずらで編み込む別府竹細工でありながら、より細かい目で丁寧に編まれており、小林真弓(竹千代)さんならではの高い技術が伺える逸品です。
使い込むと、飴いろに変化するのも竹細工の魅力。昔ながらの「おこたにみかん」の定番的な使い方から、ペーパーを敷いて揚げ物をたっぷり入れておもてなしに、おやつやおにぎりを盛ったり、使い方はさまざま。愛着をもって永く使いたくなる美しい佇まいは、贈り物にもぴったりです。
■ Size:
大 直径245mm×H85mm
中 直径210mm×H90mm
小 直径190mm×H80mm
■ Material:真竹
※一点一点手作りの為、若干サイズが変わります。
※天然材を使用していますのでささくれ、歪み、画像のお色との差異等が見られる場合がございますが、味とご理解頂ければ幸いです。
大 直径245mm×H85mm
中 直径210mm×H90mm
小 直径190mm×H80mm
■ Material:真竹
※一点一点手作りの為、若干サイズが変わります。
※天然材を使用していますのでささくれ、歪み、画像のお色との差異等が見られる場合がございますが、味とご理解頂ければ幸いです。
商品のつくり手について

名古屋市のとある住宅街の一角。竹細工を作る小林真弓さんの工房を訪ねると、ひごと呼ばれる竹細工の材料を作る作業の最中だった。太い竹筒に竹割り包丁をかざし、カンカンと竹を割る。わずか1cm前後の間隔に入れた目印の切り込みに刃を当てると、それほど力を加えなくとも、歪むことなく一
直線に裂けていく。その潔く、まっすぐな切り口を見ていると、「竹を割ったような性格」とは、言い得て妙であると実感する。
ひごは、皮の部分のみを使用するために、0.1mm単位まで調整しながら、均一の薄さに削られる。その後、幅や厚みを整え、節取り、面取り、2枚剥ぎなどいくつもの細やかな工程を経て、筒の状態からは想像もつかないほどしなやかな状態へと仕上げられる。そして、ひと目ひとめていねいに手作業で編み上げられ、頑強で繊細な籠やざるなどへと、自在に形を変えていく。 小林真弓さんが竹細工に魅了されたのは、十数年前。百貨店で開かれていた工芸品展で竹工芸に出会い、ひと目でその美しさのとりこになったとか。
良質な竹の産地であり、古くから竹を使った工芸品の産地である別府へ単身で渡った小林さんは、大分県の竹工芸訓練支援学校で竹細工の基礎を学び、伝統工芸士である森上仁氏のもとへ弟子入り。2年ほどの修業期間を経て、名古屋へ帰郷して工房を開いた。 竹細工を始めて10年余り。「まだまだ新人です」と笑う小林さんだが、彼女の作品は艶やかな竹の美しさ、幾何学模様のような伝統柄の雅さを漂わせ、手業ならではのぬくもりと、竹細工特有の力強が伝わってくる。そして何より、これから共に過ごす日々に思いを馳せると、使い込むほどに色合いを変え、経年変化を遂げていく竹細工の「成長」に胸が躍るのだ。
「竹細工に親しみのない若い世代の人にも、竹細工の魅力や使う喜びを知ってほしい。例えば洋服に竹籠を合わせてもすごくおしゃれだし、北欧家具の上に何気なく置いても、竹はすごく馴染む。今のライフスタイルにも取り入れられるような、洗練感のあるアイテムを作っていきたいですね」と話す小林さん。しかし一方で、「でも……」と、はにかみながら言葉を添えた。「でも、実は周りの人からは『背伸びしておしゃれにしなくてもいいんじゃない?』とも言われるんです。だから、私らしく素朴さを忘れずに作り続けていきたい」
一瞬にして竹細工の美しさに魅了された10数年前。以来、変わることなく、素直にまっすぐ、竹と向き合い続ける小林さん。おだやかな笑顔の内に潜む芯の強さで、日本が誇る伝統工芸と現代の暮らしをつないでくれる。