邪気を払う吉祥紋を鮮やかに染めて
昔から魔除け、邪気を払うとして日本人に愛されてきた菖蒲。五月の節句では男の子の健康と成長を願う花でもあり、「勝負」にも通じるとして戦国武将にも愛されてきたそうです。水辺にぴん、と背を伸ばして凛と咲く花々は初夏の風物詩。爽やかな風を感じさせてくれます。
色差しと呼ばれる技法で、型染めしたのちに桃や緑、青といった色で丁寧に描かれ、とても手がこんだ作品です。山内武志さんが師事した人間国宝・芹沢?介氏への敬愛とオマージュを感じます。
一枚の絵を見るような凜とした美しさ
丹念に一つひとつ色差しされた菖蒲の花。まるく囲むように葉っぱが描かれ、その鮮やかな色に見惚れてしまう華やかで力強い作品です。また、雁行に淡い色調で描いた一枚は、やさしげな風情です。どちらも、一幅の絵のよう。鯉のぼりや兜と一緒に飾っても。
A.青藍に丸紋色差し...約96cm×40cm
B.濃紺に雁行色差し...約91cm×32cm
*昔ながらのシャトル織機による上質な織物に手仕事で染めています。織物はすこしぽこぽことした表情があります。
*卓布用織物の特徴で、ロットにより長さにばらつきがみられます。使う分にはあまり気にならないように感じますが、同じ模様をお買い求めになる際はご了承ください。
■material:綿100%
※摩擦により色移りする場合があります。使用前にたっぷりの水で単独洗いをしてください。
※お手入れは中性洗剤で押し洗い、陰干しがおすすめですが、洗濯ネットを使えば洗濯機でも洗えます。その場合は、両端のフサ部分を折って中に入れ込み、洗濯ネットに入れて中性洗剤で洗ってください。最初は色落ちしますので、単独で洗うことをおすすめします。 ※使うほどに風合いが増してきます。かしこまらずに普段使いにもおすすめです。
※サイズは目安で、一枚一枚ばらつきがあります。
※手染めのため、画像との色の違いや色ムラがある場合があります。また、型への色の入り込みや滲みが見られますが、手しごとの味としてご理解ください。
商品のつくり手について
伝統の型染めで生み出されるモダンな模様のテキスタイル
明治から大正時代にかけて、型染めの産地として知られていた浜松。天竜川を水源とした豊富な清水に恵まれ、山風が吹くこの地は、洗いと乾燥が鍵を握る染め物にとって絶好の場所です。この浜松で型紙づくり、染め、色止め、洗いなど気の遠くなるような作業を要する伝統的な型染めの技法を今も守り続けるのが、浜松に工房を構える染色家の山内武志さんです。
紺屋を営む家に生まれた山内さんは、人間国宝の染色家・故芹沢けい介氏に師事して技の研さんを積むと共に、感性に磨きをかけ、独自の世界観を確立させます。
「すべての工程がおろそかにできないんです」と語る通り、一つひとつの工程に対して、一切の妥協を挟まないそのていねいな手仕事ぶりには、伝統工芸を生み出した先人たちへの敬意と、浜松の染め文化に対する誇りが感じられます。
そんな山内さんが生み出す布製品は、伝統的な型染めならではのやさしい肌ざわりや通気性の良さ、色の鮮やかさはそのままに、現代の暮らしにも馴染むモダンなデザインが魅力。丸や四角を組み合わせた幾何学模様や伝統の和柄をアレンジしたぬくもり感あふれる柄は、つい手に取ってみたくなる愛らしさに満ちています。色とりどりの染め物たちが、暮らしを楽しく彩ってくれます。
[N Drive 創刊号 静岡いろは掲載店]