師へのひたむきな敬愛の心を感じて
テーブルセンターや花瓶敷きに使われてきた卓布(たくふ)。山内武志さんの型染めの卓布は、従来の古臭さや重々しい雰囲気ではなく、民藝の格調はそのままに現代生活に取り入れやすいインテリアグッズ。お気に入りの置物と組み合わせたり、ランチョンマットや壁掛けにして飾っても。日々の暮らしへ、気軽に取り入れてみてはいかがでしょうか。
一枚の絵を見るような凜とした美しさ
山内武志さんの師、芹沢けい介氏もその美しさに魅了された紅型。山内武志さんもその流麗な型を手本とし、日々楽しむ暮らしの染物として。
流水紋に遊ぶ花鳥や桜楓、鶴の飛来などおめでたい文様にうっとりします。型染めしたのち、一つひとつ丹念に色をさして仕上げています。白場が多い染めはのりおきに神経を使い、高い技術が求められるのだとか。彩り豊かな風景を濃紺が引き締め、一服の絵を見るよう。見る人を引込む普遍の美しさを留めているように感じます。
■(A)紅型 波貝桜楓流水蛇文(size:約560mm×240mm)
貝、蛇、桜など、縁起の良い紋様が散りばめられた景色がチャーミングです。少し糊おきが甘いところに滲みが見られますがかえって手仕事の味わいを深めています。(最近は糊の質が変わって滲むことが多いのだとか)
この一枚のみ、少し他より長め。棚やローテーブル、テーブルのセンターマットなども似合いそうです。
■(B)紅型 花蝶唐草文(size:約460mm×240mm)
白場が多い染め物は、糊おきに手間がかかるそうですが、繊細な唐草の表現と言い、白と紺と、色差しのコントラストに見惚れます。蝶と花の愛らしさ!お気に入りの花器とどうぞ。
■(C)紅型 棕櫚梅文(size:約470mm×240mm)
棕櫚はヤシ科の常緑樹。神通力が宿るといわれて、家紋などに用いられてとか。棕櫚と梅花モチーフを繰り返す吉祥紋は見飽きない美しさ。型染美に溢れる一枚です。
■(D-1)紅型 芭蕉文(size:約480mm×240mm)
■(D-2)紅型 芭蕉文(size:約445mm×240mm)
中国原産の芭蕉。南国的な葉の形は、おおらかで昔から日本人に愛されてきた紋様です。カラフルに染められた葉に、どことなく異国情緒も感じます。旅の思い出の小物と飾ってみたくなるような作品です。模様は同じですが、長さが変わるため、お好みの方をお選びください。
■material:綿100%
※摩擦により色移りする場合があります。使用前にたっぷりの水で単独洗いをしてください。
※お手入れは中性洗剤で押し洗い、陰干しがおすすめですが、洗濯ネットを使えば洗濯機でも洗えます。その場合は、両端のフサ部分を折って中に入れ込み、洗濯ネットに入れて中性洗剤で洗ってください。最初は色落ちしますので、単独で洗うことをおすすめします。 ※使うほどに風合いが増してきます。かしこまらずに普段使いにもおすすめです。
※サイズは目安で、一枚一枚ばらつきがあります。
※手染めのため、画像との色の違いや色ムラがある場合があります。また、型への色の入り込みや滲みが見られますが、手しごとの味としてご理解ください。
商品のつくり手について
伝統の型染めで生み出されるモダンな模様のテキスタイル
明治から大正時代にかけて、型染めの産地として知られていた浜松。天竜川を水源とした豊富な清水に恵まれ、山風が吹くこの地は、洗いと乾燥が鍵を握る染め物にとって絶好の場所です。この浜松で型紙づくり、染め、色止め、洗いなど気の遠くなるような作業を要する伝統的な型染めの技法を今も守り続けるのが、浜松に工房を構える染色家の山内武志さんです。
紺屋を営む家に生まれた山内さんは、人間国宝の染色家・故芹沢けい介氏に師事して技の研さんを積むと共に、感性に磨きをかけ、独自の世界観を確立させます。
「すべての工程がおろそかにできないんです」と語る通り、一つひとつの工程に対して、一切の妥協を挟まないそのていねいな手仕事ぶりには、伝統工芸を生み出した先人たちへの敬意と、浜松の染め文化に対する誇りが感じられます。
そんな山内さんが生み出す布製品は、伝統的な型染めならではのやさしい肌ざわりや通気性の良さ、色の鮮やかさはそのままに、現代の暮らしにも馴染むモダンなデザインが魅力。丸や四角を組み合わせた幾何学模様や伝統の和柄をアレンジしたぬくもり感あふれる柄は、つい手に取ってみたくなる愛らしさに満ちています。色とりどりの染め物たちが、暮らしを楽しく彩ってくれます。
[N Drive 創刊号 静岡いろは掲載店]